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Blues の歴史 4

2008.04.04.Fri.20:56
黒人霊歌

奴隷輸入の初期に、キリスト教を黒人に布教する考えは皆無であった。
アフリカ人は獣類と解され、畜生に神の栄光を説いても始まらないからである。




奴隷に与えられた最初の宗教は、他でもない奴隷用の教訓道徳である。

奴隷使用者はキリスト教となった奴隷が前よりもおとなしくなり、
逃亡や反抗や一揆を企てないようになることに早くから注目した。

キリスト教は奴隷の「しつけ」として使われ、「しつけの」教訓に従って現世で生活すれば、
死んでから「あの世で」楽しく生きられると教えられたのである。

キリスト教のおかげで、奴隷は神の国(天国 heben)に入ることができ、
そこでは「すべての罪と悩みが消えうせる」ってわけ。

メソジストとバプチストの激情的な福音主義は、最も奴隷の胸を打った。

キリスト教がこれほど奴隷の心を夢中にさせた原因の主なものは、それが聖書の古い時代から、迫害され虐げられた者の宗教だったことによる。

これは暴君ファラオのもとで虐げられるユダヤ人を、白人農園主のもとで酷使される自分たち奴隷に重ねて見ており、ユダヤ人がその「約束の地」を追い求めた激しい情熱が、そのまま救いの境地を切望する黒人奴隷の悲願にピッツタリ合致したのである。

黒人宗教音楽が、それ以前の労働歌や非宗教的な叫喚歌とは違う主題と内容を持つのも当然である。「うめき・わめく」というよりは「うたう」ことになるからだ。表現においても、それより旋律的に、かつ音楽的になった。

彼らの宗教音楽は、その表面的な形式は欧米を手本としていながらも、歌詞・リズムのみならず和声法に関しても、本質的にはアフリカ音楽にのっとるものを創造するに至った。とくに、「霊歌 (スピリチュアル)」については、奴隷が創造した最初の生粋のアメリカ音楽と言えよう。

黒人霊歌には次の主なタイプがある。

○ Call & Response(呼びかけと応答)
主唱者(leader)と低音パートの人たち(basers:旋律の基本部分を歌う・挿入句を入れる)が交互に歌う。

○ Long, Narrative
ゆっくりと、フレーズを長く引っぱる。哀愁をおびたメロディーが多い。

○ Short, Syncopated, Segmented
短くてリズミカル。シンコペーションが多い。この手の歌はアップテンポで歌われることが多い。

現在、黒人霊歌は黒人たちがヨーロッパの白人の民俗音楽を自分たちの音楽的嗜好の中に取り入れ、宗教的素材(=キリスト教)と結びつけたのだと結論づけられております。




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