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「Piedmont Style Country Blues Guitar Basics」

2017.06.30.Fri.00:15
以前御紹介したアコースティック・デュオ "Piedmont Bluz" でございますが、奥さんである "Valerie Turner" さんが教本を出された様でございます。 ピードモント・スタイルの伝統を継承し、ワークショップもされてますので、ピードモント・スタイルを弾こうと思われる方には本格的な教本となるのではないかと思います。 (製本はされてないようですが・・)

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Valerie Turner

Piedmont Style Country Blues Guitar Basics, my first book, will be going to print later this week, and what a journey it's been! This book presents accessible guitar arrangements inspired by the repertoires of Country Blues artists like Mississippi John Hurt, John Cephas, Elizabeth Cotten, Mance Lipscomb, John Jackson, Blind Willie McTell, Lead Belly, Papa Charlie Jackson, Rev. Gary Davis, Furry Lewis, and Son House. With over 20 music arrangements aimed at the beginner and intermediate levels, the songs in this book span a variety of keys, tunings, and timings, and are represented using a combination of chord charts, tablature, standard music notation, and accompanying audio. Interesting photographs and anecdotes round out the book and add to its charm. Stay tuned for information on how you can order a copy! (Book design by Benedict Turner)





お問い合わせは公式HPから
http://www.piedmontbluz.com/







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Live報告 「ROIKI Live」

2017.06.27.Tue.00:05
2017年6月24日 生野 「Orquesta De La Bitch」 にて

大阪に用事で行く事になった訳でありますが、何と!良いタイミングで "ROIKI" 氏のライブがありました。 用事を済ませて以前から気になっていたお店、「Orquesta De La Bitch」 に向ったのでございます。

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寺田町の駅を降りると、懐かしい大阪の街ってな雰囲気ですわ。 天王寺界隈は昔住んでいた頃とは違う綺麗な街になってきております。 少し歩くと 「源ヶ橋商店會」 がありますが、シャッター閉まってましたなぁ。 何ともエエ雰囲気を醸し出しておりました。

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デ・ラ・ビッチの前で写真を撮っていると、ROIKI氏が来られお店の中へ。 こぢんまりとした店内ですが、こちらもなかなか良い雰囲気ですわ。 ライブまでの時間に食事や雑談など。

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ROIKI氏が昔アメリカで購入した 「Big Bill Bloonzy」 の珍しいLPなど聴かせて貰ったり、お客さんがこれまた古い Stefan Grossman 「HOW TO PLAY BLUES GUITAR」 約40年前のLP(TAB譜付)を持ってきてくれたりしまして、ライブの前から盛り上がってしまいました。

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久し振りに聴くROIKI氏のギターは "Martin" ・・・。 イメージが違うなぁ~と思っておりましたが、出て来る音は "Martin Guitar" の音色ではありませんでしたな。 流石です!と言って良いのか分かりませんが・・・。 それにしてもROIKI氏の世界は素晴らし~! 独特の和音の使い方が何ともエエですわ。 そして、竹のスライドバーには笑いました。 音が怪し過ぎです。

ってな事で、美味しい食事と良い音楽と、お酒もたらふく飲んで満足な夜でございました。

帰りは大粒の雨が降っておりましたが、デ・ラ・ビッチさんに傘を貸してもらい助かりました。

ありがとうございました。 m(__)m









HIDEAWAY 2017年7月 予定

2017.06.24.Sat.00:17
2017年7月 HIDEAWAY スケジュール

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Charge with 1drink   ※開演時間に御注意ください

1日 (土) 20:00~ 
TOKU & Mystery Train (BLUES) ¥1,500

2日 (日) 20:00~ 
TOKU(Harp.Vo.)・DAN(Vo.G)・哲(Vo.G)・OZZY(Vo.G) ¥1,500

3日 (月) 19:00~
BLUES JAM SESSION 出演自由 ¥1,000

4日 (火) 19:00~
とび入りナイト 出演自由 (ノンジャンル) ¥1,000

6日 (木) 19:00~
とび入りナイト 出演自由 (ノンジャンル) ¥1,000

7日 (金) 19:00~
BLUES JAM SESSION 出演自由 ¥1,000

8日 (土)
Amusement WORLD+ (貸切り)

9日 (日) 19:00~
とび入りナイト 出演自由 (ノンジャンル) ¥1,000

10日 (月) 19:00~
BLUES JAM SESSION 出演自由 ¥1,000

11日 (火) 19:00~
とび入りナイト 出演自由 (ノンジャンル) ¥1,000

13日 (木) 19:00~
とび入りナイト 出演自由 (ノンジャンル) ¥1,000

14日 (金) 20:00~ 
佐藤弘之(Vo.G)、五十嵐進(Piano)、TOKU、DAN、木下、カズ坊 ¥2,000

15日 (土) 20:00~ 
三好ひろあき & OWL  GO!WEST TOUR Vol.6 ¥2,500

16日 (日) 20:00~ 
AKAGI'S Night  - SOLO - ¥1,500

17日 (月) 19:00~
BLUES JAM SESSION 出演自由 ¥1,000

18日 (火) 20:00~ 
ヤスムロコウイチ (Vo.G) ¥2,000

20日 (木) 19:00~ 
THE BEATLES Night (ホスト大介)出演自由 ¥1,000

21日 (金) 20:00~ 
徳田健(G.Vo)、佐藤弘之(G.Vo) ¥2,000

22日 (土) 20:00~ 
Blues 伝道 Project (Acoustic Blues) 出演自由 ¥1,500

23日 (日) 19:00~
とび入りナイト 出演自由 (ノンジャンル) ¥1,000

24日 (月) 19:00~
BLUES JAM SESSION 出演自由 ¥1,000

25日 (火) 19:00~
とび入りナイト 出演自由 (ノンジャンル) ¥1,000

27日 (木) 20:00~ 
JAZZ Session Night 小川真司(G)、松坂彰三(P)、柴田賢吾(B)、池田拓史(Dr) ¥1,500

28日 (金) 19:00~
BLUES JAM SESSION 出演自由 ¥1,000

29日 (土) 20:00~ 
DAN ALL STARS (R&B) ¥1,500

30日 (日) 19:00~
とび入りナイト 出演自由 (ノンジャンル) ¥1,000

31日 (月) 20:00~ 
Mr.OH YEAH ブルースワークショップ&セッション ¥2,500



■ お問い合わせ
〒720-2117 広島県福山市神辺町下御領1383-4
TEL:084-965-0410 FAX:084-966-0007

Facebook Page
https://www.facebook.com/livehousehideaway





Live報告 「Blues 伝道 Project 第82弾!」

2017.06.21.Wed.00:12
2017年6月17日 神辺 「HIDEAWAY」 にて

最近は修行の場と化している伝道ライブでございますが、今回は久しぶりな "Nakane"氏や "Yoco" さんが来られ、長い事御無沙汰しておりました "中藤" 氏も仕事帰りに来て頂き、何時に無く盛り上がったライブとなりました。

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最近 "TOKU" さんとの絡みがエエ感じなってきた "ohashi" でございます。 Gospel Blues が面白くなってきているので、今後は Willie "ohashi" Johnson ってな感じで演って行こうと思っております。 説教は出来ませんが・・・。

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久々な "Yoco" さんはメチャ安定していて素晴らしい演奏でございました。 上手いな~! TOKUさんとの絡みもGoodですわ。 毎日朝練してるらしいです。

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"玉ちゃん" はウクレレとギターで。 泉谷しげるの曲を演られましたが、良い感じで声と合ってました。 前回に引き続き色々と演りたい年頃のようです。

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"Nakane" 氏は何時もの感じで~と思ったら、皆さん参加でセッション風に楽しく演らせて頂きました。

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"ひこ&ちあき" は昔懐かし「友滝ヒコ」 と 「ちあきソロ」 とに分かれて演っておられました。 色々と変化して行くユニットで面白いです。

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"Tany" さんはシガーボックスギターで。 世界に配信するために動画撮影してました。 日本で弾いてる方は少ないので、良い宣伝になる事でしょう~。 "中藤" 氏もギターで絡んだり ohashi もドラムで参加~。

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"ゆみちゃん" はエエ感じで歌ってましたね~。 「ヴォーカル虎の穴」 にて訓練中! 今後が楽しみでございます。

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その後はセッション風に入り乱れてお楽しみは続くのでありました。

それにしても楽しかったですわ。 (^^)/







Bye And Bye, Goin' To See The King

2017.06.18.Sun.00:13
「さようなら、私は王様に会いに行くよ(を見に行くよ)」 ってな感じのゴスペルでございますが、「キング」はキリスト教における神の称号であります。 

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ゴスペルという音楽が作られた頃の歌のようで、1926年に "Arizona Dranes" が 「Bye and Bye We're Going to See the King」 のタイトルで Okeh に録音。 1929年には "Blind Willie Johnson" 、1932年にはカントリーな "Carter Family" 、1965年には "Mississippi Fred McDowell" も録音しております。





様々な方が録音している曲だったりしますが、やはりその時代の辛さが伝わってくる曲のように感じます。 この辺りの微妙な聖と俗が "ゴスペル・ブルース" というカテゴーリーとも言えますが、ゴスペルの父と呼ばれる "Thomas. A.Dorsey" も元々ブルースマンでしたから、宗教音楽と世俗音楽を融合させたとも言えますな。





ブルースは俗世界の音楽と毛嫌いする黒人キリスト教徒も、歌詞が違えばOK!ってもの面白かったりするし、結局ブルース好きやん!ってな話のような気がしないでもないのだが・・・。









告 「Blues 伝道 Project 第82~ 84弾!」

2017.06.15.Thu.00:13
まだまだ続くブルース伝道ライブでございます・・・。 カントリーなブルースや泥臭いのがお好きな方は、是非とも覗きに来て下さいませ。 セッションなどしたり、とび入りもOKでございます。 m(__)m


「Blues 伝道 Project 第82弾!」

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2017年6月17日(土) 神辺 「HIDEAWAY」 にて

Charge/¥1500 with 1drink Start/20:00

出演 : TOKU、Tany、ohashi、他


飛び入りOK!



お問い合わせ 「HIDEAWAY」
〒720-2117 福山市神辺町下御領1383-4
Tel、084-965-0410  Fax、084-966-0007


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「Blues 伝道 Project 第83弾!」

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2017年7月8日(土) 府中 「always」 にて

Charge/¥1000 with 1drink Start/20:00

出演 : ドランカーズ、ひこ&ちあき、たかけん、玉ちゃん、山室、コウメイ、ohashi、他
 

久し振りの 府中 「always」 です。 今回も府中支部長 "JAR赤松" 氏プレゼンツ!
ソロ有り、セッション有りの盛り沢山なライブとなりそうです。
是非御参加下さいませ~!




・お問い合わせ 「always」
府中市高木町397-5
TEL:0847-45-9888
http://always.okoshi-yasu.com/always/Top.html


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「Blues 伝道 Project 第84弾!」

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2017年7月22日(土) 神辺 「HIDEAWAY」 にて

Charge/¥1500 with 1drink Start/20:00

出演 : TOKU、Tany、ohashi、他


飛び入りOK!



お問い合わせ 「HIDEAWAY」
〒720-2117 福山市神辺町下御領1383-4
Tel、084-965-0410  Fax、084-966-0007





日本人とブルース

2017.06.12.Mon.00:14
メモ帳を捲ってみると、以前メモしておいた記事を発見。 『「南部のソウル」を求めて東京を彷徨う米誌記者の冒険譚』 って事で "なぜ日本人はブルースを熱愛するのか" という答えを探し歩いた手記であります。

2017年2月26日 「COURRiER Japon」 に掲載された記事ですが、途中までしか掲載されておらず、続きは有料会員にならないと読めないとの事。 しかしながら、日本人としてはアメリカ人以上に面白いテーマではあるので、読まれた方も居られると思いますが転載しておきます。 m(__)m

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From Oxford American (USA) オックスフォード・アメリカン(米国)より
Text by Amanda Petrusich

米国の有名音楽ライターである筆者は、日本のブルース専門店の品ぞろえのよさや、本場のミュージシャンたちを招いたライブでの観客の熱狂ぶりに衝撃を受ける。

米国深南部の文化と何の接点もなさそうな日本人が、なぜこれほどまでにブルースを愛するようになったのか──この疑問を解き明かすため、筆者は東京中のライブハウスと演奏家たちを訪ね歩く。

日本のブルース文化を通して東京の街と日本人の姿を詩情豊かに描く、珠玉の訪日記。

ブルースを熱狂的に愛する日本人

下北沢は、東京の西にある雑然とした街だ。

その曲がりくねった通りや路地は、車が快適に通るには狭すぎる。だが、しわしわのビンテージTシャツやホーロー製のカラフルな調理器具が置かれた店内を眺めたり、複雑な味のカクテルをちびちびやったり、細い小道をブラブラしたりして午後を潰すのにはちょうどよい場所だ。

若者はバーやカフェに集まり、スマホをいじりながら煙草を吸っている。いってみればここは、自由奔放な欧州の飛び地に似たブルックリンの「日本版」といったところか。

その夜、「ラウン」という小さなクラブで、ミシシッピ州出身のブルース・ギタリストであるスティーブ・ガードナーが、演奏することになっていた。私はそれを見るために下北沢にやってきたのだ。

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東京でのブルース・ミュージシャンたちへの待遇は、非常によいらしい。

私は数年前、SPレコードのコレクターについて書いた本を出版したのだが、それがきっかけで日本の意外な事実を知った。日本にはブルースの熱狂的なファンがいて、彼らは古き良き米国文化に対する強い憧れと尊敬の念を抱いており、歌手や演奏者たちはこの国から熱烈な仕事のオファーを受けるという。

なぜ、一部の日本人がそれほどまでにブルースを愛しているのか、私にはその理由がさっぱりわからなかった。この極東の国で、ブルースはもちろんメインストリームの音楽ではない。だが、多くのファンから崇められ、1つのジャンルとしての地位を確立しているのだ。

東京での最初の数日間、私は貪欲にレコード屋をめぐり、その在庫の素晴らしさに舌を巻いた。

「NO MUSIC NO LIFE」という大きな看板がかかった渋谷のタワーレコードには、新品のブルースのCDがずらりと並んでいた。私がこれまで訪れた小売店のなかでは、最大規模だったかもしれない。

その後、私は「Jazz、Blues、Soul」という名の静かでこじんまりとしたバーで時間を過ごした。その店では、1万1000枚ものレコードを収納する棚が床から天井までを占拠していて、オーナーのコバヤシ・カズヒロはそこから毎日のBGMを慎重に選ぶのだという。

シカゴ・ブルースの革新者サニー・ボーイ・ウィリアムソンのTシャツを着た人を見たのも一度ではない。より多くの電力を直接得るために自分専用の電柱を設置し、特別に工夫を凝らしたオーディオ機器を操るマニアさえいるという。

だが、ブルースが日本人にとっていったいどういう意味を持つのか、なぜこれほどまでに多くの人を魅了しているのか、私は不思議でしょうがなかった。

ブルースは最も「米国的な音楽」

ガードナーの演奏の数時間前に、私は「ヴィレッジヴァンガード」という名のレストランに立ち寄った。この店名はおそらくニューヨークの有名なジャズクラブに敬意を表してつけられたものだろうが、見た目や精神性において、この2つの店に関連性は見当たらなかった。

ドアの看板で、ここが「ハンバーガーショップみたいなもの」だということがわかったので、私はハンバーガーを注文した。

店内にはノーマン・ロックウェルの絵と、米誌「ライフ」が飾られていた。ガンズ・アンド・ローゼズの「パラダイス・シティ」が天井のスピーカーからかすかに聞こえてくる。

バーの内装は映画『テルマ&ルイーズ』に出てくる酒場を彷彿とさせたが、実はハワイの「ティキ」をイメージしているそうで、プラスチック製の熱帯の花がそこらじゅうにあった。

私は、日本人がどのようにして米国的な概念を消化するのか理解したかったのだが、いくら分析しようとしても、結果はめまいがするようなものだった。この店も、「米国的」だと思われるものがバラバラに置かれており、私を混乱させてくれる。もちろん、米国にある多くの日本食レストランも、日本人からすれば同様にバカげて見えるということは重々承知しているが。

マイケル・プロンコとの約束の時間が迫っていた。

彼はミズーリ州カンザスシティの生まれだが、この15年間は東京に住んでいて、明治学院大学で米国文学や映画、音楽、芸術を教えている。また、教職のかたわら「Jazz in Japan」というウェブサイトに記事も書いている。

プロンコは、洗練された従軍記者のような男だった。白髪混じりの頭に帽子をかぶり、眼鏡を掛け、顎ひげをたくわえた彼には、世界中を旅してきたような風格があった。下北沢の駅で待ち合わせると、私たちはバーへ向かった。

なぜ、ブルースが一部の日本人の心に強く響くのか、プロンコならその理由を知っているような気がした。

もちろんお決まりの歴史学的、社会学的な説なら、私だってとうに知っている。

第2次世界大戦中、日本に駐留していたアフリカ系米国人の兵士が自分たちのレコードのコレクションを持ち込み、それによってブルースが広がり、これまでにはなかった音楽のジャンルが日本人を虜にしたという説だ。

世界中のあらゆる音楽が、同じような経緯で普及していった。歌やスタイル、商業的に作成されたレコードや楽譜が、演奏家を通じて「旅」をし、その土地に浸透していったのだ。これは、「芸術は地理的な境界を超えるし、人間には普遍的に訴える表現がある」ことの証でもある。

しかし私は、ブルースが日本に伝わった歴史のユニークさや複雑さをもっと深く知りたかった。

米国では、ブルースはいまもその発祥の地である深南部、特にミシシッピ州の北西部とアーカンソー州、ルイジアナ州、テキサス州の一部が聖地とされている。

米国発祥のあらゆる音楽のなかで、ブルースはその本質が最も「米国的」だと私は思う。初期のブルースの、執拗なまでの音の集中砲火、ときにずぶ濡れでときにパチパチと音を立てる熱、そして単調さは米国の原風景を音楽で再表現しようとして生まれたものだ。

ブルースの歴史を辿る旅が、依然としてミシシッピで盛んなのもわかる気がする。ブルースを読み解く最も良い方法は、この音楽が生まれた土壌について知識を深めることだからだ。

それには、ロバート・ジョンソンが悪魔に魂を売り渡した場所だという伝説が残る、クラークスデールのデビルス・クロスロードを訪れるのが一番だ──多くのブルースファンは、いまだにそう信じている。

61号線と49号線が交差するこの場所で、うつろな目をしたブルースファンたちは、車を停めて湿っぽい南部の空気を胸いっぱいに吸い込み、自分を解放するのだ。

「私は『答え』を探し求めてはるばるここまでやって来た。そして見つけた。やりとげたのだ」──彼らはみんな一様に、こんな達成感に浸っているのだろう。

プロンコと私はビールを頼んだ。私の仮説はまだ不完全だったが、それでも私は彼に質問をぶつけられずにはいられなかった。日本人が持つ謙虚さと禁欲の精神と、自由を信条とするブルースとの間には、あまりにも決定的な深い溝があるのではないのか。私はそう彼に尋ねたのだ。

プロンコは私の意見に一部同意してくれた

「ブルースは自然に生まれ出てくるもので、何のフィルターもかけられていません。

ブルースのミュージシャンはよく、自分たちは『怒っているし、絶望している』と言います。ところが日本の文化では、自分の感情をそのまま表には出しません。『ああ、嫌な気分だ』と誰かが言えば、それは他者にとって重荷になるからです。不満を持っている人の言うことに耳を傾け、気をつかってあげなければいけませんからね。

米国でも多分それは同じでしょうが、日本ではより義務感が強いのです」

ビールを飲みながら彼は続けた。

「私は、ブルースを聞くときには歌詞に耳を傾けるのではなく、感性、つまり直感のエネルギーを捉えるようにと大学の生徒たちに言っています。

それが最初にできれば、歌詞のなかにもおのずと入っていくことができますから。日本人は社会で激しく抑圧されているため、ブルースの直接的で感情的で遠慮のない表現が、心に強く響くのでしょう」

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東京のライブハウスで魂を揺さぶられる

ビールを飲み終えた私たちは、ようやくラウンに向かった。着いた場所は、バーを備えた小さなリビングルームのようなところだった。私が拍子抜けしているのを見て、プロンコが言った。

「これが、いわゆる日本のライブハウスです。ミュージシャンはここを借りるか、もしくはここで演奏するための契約をオーナーと結ぶのです」

こうしたブルースのライブでは、外国人の観客は自分1人であることが多いとプロンコは私に話していたが、まさにその通りだった。

プロンコは私を、もう1人の外国人であるサム・ベネットに紹介してくれた。ベネットはアラバマ州バーミングハムで生まれ育ち、いまは東京でミュージシャンをしている。

私たちは最後尾に座ることにした。そのライブハウスで、我々が最も背の高い人間だったからだ。

出番が来ると「ナショナル」のスチール・ギターを抱えたスティーブ・ガードナーが、ユーモアたっぷりに観客をかきわけながらステージに上がった。サスペンダーつきのジーンズに、白のポークパイハットといういでたちだ。

彼の声には膨らみがあり、荒っぽく、騒々しく、俳優のサム・エリオットやデルタ・ブルースの創始者チャーリー・パットンに似ていた。彼はガラス製のスライドバーを取り出し、「シャディー・グローブ」というアパラチアの伝統的なフォークソングを陽気に歌いはじめた。

ガードナーは生来の話し上手であり、観客は彼の冗談に沸いた。

「『売る』ということを思いつくまでは、ブルースなんていうものは存在しなかったんです。録音される前は、それは単なる音楽でしかなく、そうあるべきものだったんです。そうでしょ?」

ガードナーは言葉を切り、リック(定番のフレーズ)をいくつか弾いた。

「素晴らしい音楽の多くは、盲目の人たちによって作られました。ブラインド・ブレイクという男が作った『ポリス・ドッグ・ブルース』もその一つ。私の大好きな曲です」

「ポリス・ドッグ・ブルース」は、1929年にインディアナ州リッチモンドでパラマウント・レコード社が録音した。ウィスコンシン州グラフトンを拠点としたこのレコード会社は、もともとは家具メーカーだった。

ブレイクの生涯について、詳しいことはわかっていない。彼は、バージニア州ニューポートニューズで1896年に生まれた。生まれつき目が見えなかったそうだ。

1926年、彼はパラマウントと録音を開始し、78回転レコードを約80枚も作成した。戦前のカントリー・ブルースの演奏家にしてはずば抜けて多作で、商業的にも成功を収めた。

「ポリス・ドッグ・ブルース」は、愛に見切りをつけようとする歌だ。ブレイクは甘く、包み込むような声で囁き、ギターを弾いた。

All my life I’ve been a traveling man.
これまでの人生、俺はずっと旅をしてきた

I shipped my trunk down to Tennessee, hard to tell about a man like me.
自分のトランクをテネシーに送ったよ。俺のような男について語るのは難しい

I met a gal, I couldn’t get her off my mind.
1人の女の子に会った。彼女のことが頭から離れない

ガードナーの演奏は壮大でどこかバカげていたが、彼の声には真の絶望が込められていた。

うっとりと聞き惚れている日本人ブルースファンがひしめく狭い空間で、汗をかいたグラスに残るケンタッキー・バーボンを飲みながら、東京の郊外で演奏されているこの曲に魂が揺さぶられるのを感じた。

そのときの取材ノートを見ると、私は不可解なメモを一つだけ残している。

「本当にすごい、昔からずっと、いつだって変わらない」

ブルースにおける万物の心理。我々を人間たらしめているものだ。

米国人を混乱と放心に陥れる街・東京

東京に初めて来た米国人の個人旅行者は、この街が部外者、特に欧米人にとっては謎めいた場所であることに気づくだろう。

知り合いと待ち合わせようとして、「あそこの通りには名前がないんだよ!」とか、「すてきなクラブがあるんだけど、どうやったら辿りつけるか教えられそうもない……」などという、ヒステリックな発言にとまどうかもしれない。だが、すぐに彼らの気持ちを理解できるようになるだろう。

東京の道は、まるでつる植物のように永遠にぐるぐると回っているように見える。提灯の灯りに照らされた数千もの螺旋上の小道が辿りつく先は、まさに神のみぞ知るだ。

インターネットの力を借りようと検索を始めると、「日本の住所を探し当てる黒魔術」とか、「東京──通りが麺のような街」といったページに辿りつくだろう。

某サイトの筆者は、ある店の主人に「東京という街を攻略する技はないのか」と尋ねた。だが残念ながら、店主はこう答えたという。

「ないよ。東京を知るためには、ひたすら歩きまわらなきゃ。結局はそれがベストなんだ」

私は東京で多くの時間を過ごした。7月の後半の8日間を、喜びを感じながら、しかしときに不安に陥り、困惑もしながら。



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COURRiER Japon会員(有料)
になるとご覧いただけます。
https://courrier.jp/









「十字路の彼方へ」 その2

2017.06.09.Fri.00:15
ブルース・ギタリスト列伝 って本でございますが、久し振りに読んだら面白かったですわ~。 543ページのそこそこ読み応えがある本でございます。

以前読んだ時は取り敢えず一通り読みました~。 な感じだったのでございますが、改めて読み直すと以前気が付かなかった事が分ったりしますなぁ。 これも読書の面白味でございます。

前回読んだのが3年前なので、その後色々と知識も増えたり考え方も変わったりと、違う面からも読めたのかもしれません。 まぁ、何と言ってもブルースマンは生き様やわ~。 などと改めて感じたりも致しました。

私の好きな最後のデルタ・ブルースマン 『James "Son" Thomas』 のインタビュー記事が掲載されているのが ◎ です。 (笑)


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十字路(クロスロード)の彼方へ―ブルース・ギタリスト列伝
Jas Obrechc (著), 川原 真理子 (翻訳), 藤井 美保 (翻訳)

米『ギター・プレイヤー』誌に掲載されたインタビューを中心に構成した『Blues Guitar~The Men Who Made The Music』の完全翻訳版。ブルース・ギタリストたちの肉声を通して、彼らのギターへの熱い想い、音楽にかける情熱を鋭くえぐる。つい先頃亡くなったアルバート・コリンズやフレディ・キング、マイケル・ブルームフィールド、アルバート・キング、マディ・ウォーターズといった、すでに故人となったブルースマンの貴重な写真も豊富に収録。ロックをはじめあらゆるギター・テクニックのルーツとして再評価されつつある。ブルース・ギター、そのテクニカルな側面にも深く切り込んだ本書は、ギタリストを志す人には必読の一冊。









Rosa Lee Hill

2017.06.06.Tue.00:11
1910年9月25日、ミシシッピー州コモ生まれ
ファイフ・バンドで有名な "Sid Hemphill" の娘で、"Jessie Mae Hemphill" の叔母になります。

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父親の"Sid Hemphill" はフィドル、バンジョー、ギター、ファイフなどマルチなプレイヤーでファイフ・バンドを率いていました。 ローザは6歳の頃からギターを習い、10歳になる頃には一緒に演奏をしていたようです。

1959年9月25日に "Alan Lomax"、1967年に "George Mitchell" が録音しております。
そこそこの歳からの記録になりますが、ギターの腕は確かで、何とも味のある歌でございます。 聴いていて堪らんものがりますわ。 姪の "Jessie Mae" と一緒に歌っている録音も残されておりますが、声質と歌い方が似ているのが血の繋がりを感じさせます。

1968年10月22日、ミシシッピー州セネトビアにて死去。










〈百曲探訪〉 シリーズ

2017.06.03.Sat.00:05
先日、図書館に寄ったらこの様な本が置いてあったので借りてまいりました・・・。 

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「ロックがカバーしたブルース・スタンダード100曲」、「モータウン 永遠の100曲」 の2冊でございます。 面白そうな本がないかと探していたら、目に入ったので借りてみた次第でございます。 "百曲探訪シリーズ" としてこの他に 「80sポップス 愛される100曲」 ってのもあるらしいのですが、図書館の棚には置いて無かったようです。

「ロックがカバーした・・」 ですが、ロックを聴いたことが無いと言うか、聴かない、聴けない、良く分からないので、誰々がカバーしているという事に関しては飛ばしつつも、曲についての記載だけパラパラと読んでみました。 バンドで演るウケの良い曲を探すには良い本かも知れませんが、ロック系からブルースに移行した方々の本って感じでしょうかね。

「モータウン」 に関しましては、世代が違うのか耳に入って来なかったようで、聴いて無い為殆ど知らない曲&アーティストでございました・・・。 少しは興味を持つかもしれない・・・などと、淡い期待もあったりしましたが、こちらもパラパラと読んでみたと言うか、パラパラしただけかも・・・・。

偏った音楽しか聴かないので、偏った本しか読めないのかも知れませんなぁ。 (困ったもんだ)
って事で、紹介にも何にもなっておりませんが、興味のある方は読んでみてくださいませ・・・。 (*_*;


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じっくり一曲、たっぷり百曲
〈百曲探訪〉シリーズ


本シリーズは、100曲を通してひとつのジャンルやテーマを知ることができる、「手軽ながら読み応えある音楽ガイド・ブック」を目指し誕生しました。 ネット配信によって「曲単位」で購入しやすくなった今だからこそ、本シリーズは「曲」にこだわりました。 知らなかった曲に出逢い、曲に隠された物語を知る楽しみ、一曲をじっくり味わう悦びをお届けします。 いままでもこれからも語り継がれる名曲を〈百曲探訪〉シリーズで味わってください。


「ロックがカバーしたブルース・スタンダード100曲」

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単行本 : 240ページ
出版社 : スペースシャワーネットワーク
発売日 : 2010/11/5

【ブルース・スタンダード100曲 内容】
ブルースなくしてロックなし! ローリング・ストーンズ、エリック・クラプトン、レッド・ツェッペリンなどなど、ロックの歴史を築いた偉大なアーティストたちがカヴァーせずにはいられなかったブルースの傑作100曲を厳選!
誰がどの曲をカヴァーしたのかがわかるだけでなく、この1冊でロック・ファンが知っておくべきブルースの有名曲はほぼ押さえられます! ●参考ディスク500枚掲載

【主な登場アーティスト/曲】
マディ・ウォーターズ〈ローリン・アンド・タンブリン〉、マジック・サム〈スウィート・ホーム・シカゴ〉、B.B.キング〈ロック・ミー・ベイビー〉、オーティス・ラッシュ〈オール・ユア・ラヴ〉、ロバート・ジョンスン〈クロス・ロード・ブルース〉、トミー・タッカー〈ハイ・ヒール・スニーカーズ〉、ジミー・リード〈オネスト・アイ・ドゥ〉、ブラインド・ウィリー・マクテル〈ステイツボロ・ブルース〉、サン・ハウス〈デス・レター〉、ジョン・リー・フッカー〈ブギ・チレン〉、スリム・ハーポ〈シェイク・ユア・ヒップス〉ほか



「モータウン 永遠の100曲」

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単行本 : 224ページ
出版社 : スペースシャワーネットワーク
発売日 : 2010/11/5


【モータウン 永遠の100曲 内容】
20世紀のポップス革命は小さなレコード会社から始まった! ビートルズも虜にした名門レーベル、モータウンの黄金期に生まれた永遠の100曲を厳選! レーベル最初期の曲から90年代の作品まで、発表年順に掲載だからモータウンの歴史も追えて、さらにソウル・ミュージックの歴史も透けて見えてくる。
各曲のデータ(発表年月日、作曲者、プロデューサー、チャート成績)掲載で、資料的にも価値大です。 ●モータウン人名ガイド付

【主な登場アーティスト/曲】
マーヴィン・ゲイ〈ホワッツ・ゴーイン・オン〉、スティーヴィ・ワンダー〈迷信(スーパースティション)〉、マーヴェレッツ〈プリーズ・ミスター・ポストマン〉、メアリー・ウェルズ〈マイ・ガイ〉、テンプテーションズ〈マイ・ガール〉、マーサ&ザ・ヴァンデラス〈ヒート・ウェイヴ〉、ダイアナ・ロス&ザ・スプリームズ〈ラヴ・チャイルド〉、エドウィン・スター〈黒い戦争(ウォー)〉、スピナーズ〈イッツ・ア・シェイム〉、ジャクソン5〈帰ってほしいの(アイ・ウォント・ユー・バック)〉、リック・ジェイムス〈スーパー・フリーク〉 ほか