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『ハリエット』 (映画)

2022.05.04.Wed.09:48
「ハリエット・タブマン」 の生涯を描いた2019年公開の伝記映画。

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ハリエット ・ タブマン (Harriet Tubman, 1820年または1821年 - 1913年3月10日) は、
アメリカ合衆国メリーランド州ドーチェスター郡出身の奴隷.。 後に奴隷解放運動家、女性解放運動家。 特に、地下鉄道 (アンダーグラウンド ・ レールロード。アメリカ北部やカナダへ黒人奴隷が逃亡するのを援助する秘密結社) の女性指導者のひとり。 

その功績から尊敬をこめて、「女モーセ」 「黒人のモーセ」 (Black Moses) とも呼ばれた。 古代エジプトで奴隷となっていたイスラエル人をカナンの地へ導いた、古代の預言者モーセになぞらえてのことである。

19世紀、アメリカ、メリーランド州の農場で奴隷として生まれ育ったタブマン。 あるとき、自由を求めて農場から脱走し、奴隷制が廃止された北部の地への脱走に成功した彼女が、やがては自らも逃亡奴隷たちを支援する秘密組織〈地下鉄道〉のリーダーとなって活躍するに至るまでを、実話に基づいて映画化。



ってな感じで、彼女にスポットを当てた伝記映画となっております。 評論でも 「思っていた映画のイメージと違っていた」 と書かれてありますが、この手の映画としては奴隷制のえげつなさを前面に出すのに、その辺りをサラッと描いて彼女の功績をメインに描いた映画でございました。 誰かが 「ヒーロー映画」 の様な映画と書いてましたが、ホンマそんな感じで観れますわ。

やはり、アメリカの黒人奴隷がどれだけ虐げられてきたかってのを描いて欲しいとは思うのですが、この様な歴史は一般的に知らない方の方が多いわけで、この映画を通してこの様な歴史を知ってもらうって事が大事なのかもしれないと思ったりも致しました。

アメリカ財務省が、奴隷解放運動家のハリエット・タブマン氏が、2030年に発行されることになる20ドル札の表を飾る、と発表しました。 アメリカの紙幣の表を、アフリカ系アメリカ人が飾るのはこれが初めての事です。




以前紹介した本の記事です。
ゴスペルの暗号 秘密組織 「地下鉄道」 と逃亡奴隷の謎










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『黒い蛇はどこへ』 名曲の歌詞から入るブルースの世界

2021.08.31.Tue.21:22
届いたばかりでまだ少しだけしか読んでいませんが、曲の背景なども分かりやすく書かれているので、ブルースを知るにはうってつけの本のように思えます。 和訳をするのはニュアンス的に難しい部分もありますが、注釈に 「こんな感じ・・・」 的に説明があり、読んでいて楽しいです。

ブルースに興味がある方は是非お読みくださいませ~。




以下、Amazon より

出版社 ‏ : ‎ トゥーヴァージンズ (2021/8/30)
発売日 ‏ : ‎ 2021/8/30
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本 ‏ : ‎ 416ページ

本書はブルースの歌詞を通して、その奥深い世界を案内する一冊です。ブルースは憂鬱な(ブルーな)気持ちを歌うだけでなく、愛のよろこびも歌えば、ユーモアとウィットで楽しませ、あけすけな性生活まで披露します。そこにはアフリカン・アメリカンたちの生活があり、文化があり、歴史があります。

本書にはロバート・ジョンスン、マディ・ウォーターズ、B・B・キングといったブルースの巨人と呼ばれる歴史的シンガーたちが歌った35の名曲が登場します。歌詞の解説に加え、彼らのキャリアも知ることができ、ブルースの入門書としてお楽しみいただけます。


目次
はじめに

Part I うちの台所へお入り
第一章〈うちの台所へお入り〉ロバート・ジョンスン
第二章〈ちょっといっしょに散歩しよう〉ロバート・ロックウッド・ジュニア
第三章〈おれのあの娘〉リトル・ウォルター
第四章〈チキン・ヘッズ〉ボビー・ラッシュ
第五章〈小さな青い鳥〉ジョニー・テイラー

Part II おれは大都会のプレイボーイ
第六章〈あの黒い蛇がうめいてる〉ブラインド・レモン・ジェファースン
第七章〈チャボの雄鶏ブルース〉チャーリー・パットン
第八章〈大都会のプレイボーイ〉エディ・テイラー
第九章〈トランプ(放浪者)〉ローウェル・フルスン
第一〇章〈ハウンド・ドッグ(猟犬)〉ビッグ・ママ・ソーントン/エルヴィス・プレスリー
第一一章〈駆動輪のブルース〉ルーズヴェルト・サイクス

Part III 落ち目になったらだれも
第一二章〈落ち目になったらだれも見向きもしない〉ベッシー・スミス
第一三章〈つらい浮き世〉Tボーン・ウォーカー
第一四章〈トラブルのブルース〉チャールズ・ブラウン
第一五章〈悪い運のブルース〉マジック・サム
第一六章〈振り返ってみたら〉オーティス・ラッシュ

Part IV ケイティ・メイのような女
第一七章〈ひとりぼっちの家〉ライトニン・ホプキンズ
第一八章〈おれも苦しいよ〉エルモア・ジェイムズ
第一九章〈フードゥー使いのブルース〉ジュニア・ウェルズ
第二〇章〈おれはあんたの魔法医師〉マディ・ウォーターズ
第二一章〈かわいい一六歳〉B・B・キング
第二二章〈どうかわたしに愛する人をください〉 パーシー・メイフィールド

Part V 土曜の夜と日曜の朝と
第二三章〈マ・レイニーのブラック・ボトム〉マ・レイニー
第二四章〈ブギしなよ、みんな〉ジョン・リー・フッカー
第二五章〈なんてこん畜生だ〉ダーティー・レッド
第二六章〈カルドニア〉ルイ・ジョーダン
第二七章〈パパが最新のスタイルで踊ってる〉ジェイムズ・ブラウン
第二八章〈荒れもようの月曜〉ボビー・ブランド
第二九章〈尊き主よ、わたしの手をとって〉トーマス・A・ドーシー

Part VI そのうちクーンが月に
第三〇章〈初めてブルースに会ったとき〉バディ・ガイ
第三一章〈灯りまぶしい大都会〉ジミー・リード
第三二章〈キャディラックの組立ライン〉アルバート・キング
第三三章〈デコレーション・デイ〉サニー・ボーイ・ウィリアムスンII
第三四章〈おはよう、ちっちゃなスクールガール〉サニー・ボーイ・ウィリアムスンI
第三五章 〈月のクロ助〉ハウリン・ウルフ

あとがき

[付録]黒人英語とライム [Appendix: Black English and Rhyming]
[付録2]掲載曲収録CDガイド



中河伸俊(なかがわ・のぶとし)

1951年東京都生まれ。大阪府立大学および関西大学名誉教授。専門の社会学の分野での主著は『社会問題の社会学』。1980年代から『ザ・ブルース』、『ミュージック・マガジン』、『ブラック・ミュージック・リヴュー』、『ブルース&ソウル・レコーズ』などに米黒人音楽関連の記事を多数執筆。共訳書に『ゴスペル・サウンド』(A・ヘイルバット著、ブルース・インターアクションズ刊)がある。






「アメリカ黒人史」 を読む

2020.12.31.Thu.10:34
「アメリカ黒人史」 ― 奴隷制からBLMまで

ジェームス・M. バーダマン (著), 森本 豊富 (翻訳)

出版社 : 筑摩書房
発売日 : 2020/12/9
言語: : 日本語
新書 : 317ページ

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内容(「BOOK」データベースより)
奴隷制が始まって以来、黒人は白人による差別や迫害に常に遭ってきた。奴隷船やプランテーションでの非人間的な扱いを生き延び、解放され自由民になっても、「約束の地」である北部に逃れても、彼らが人種差別から解放されることはなかった。四〇〇年にわたり黒人の生活と命を脅かしつづけてきた差別と、地下鉄道、公民権運動、そしてブラック・ライブズ・マター(BLM)に至る「たたかい」の歴史を、アメリカ南部出身の著者が解説する。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
バーダマン,ジェームス・M.
早稲田大学名誉教授。テネシー州メンフィス生まれ。専門はアメリカ文化史、特に南部と黒人の文化

森本/豊富
1956年生まれ。早稲田大学人間科学学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)



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アメリカにおける黒人の歴史が、ポイントを押さえ簡潔に分かりやすく書かれており、とても読み易い一冊でした。

ブルースという音楽に興味を持ち、当然の事ながらブルースという音楽は一体何なのか?という疑問から黒人の歴史等にも興味を持つわけですが、私が生れた頃もアメリカでは公然とリンチが行われていた事に驚愕した覚えがあります。

2020年5月に米ミネソタ州ミネアポリスで、アフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイドさんが白人の警察官に首を8分46秒圧迫されて死亡した事件がありましたが、アメリカという国が建国されてから現代に至るまで何も変わっていないという事実です。

ブルースという音楽を好きな方には是非読んで頂きたい本でございます。







「私はあなたのニグロではない」 を視る

2018.08.24.Fri.16:09
田舎での上映期間は一週間しかなく、最終日に無理やり観に行きました・・・。 (@_@;)

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"シネマ尾道" には始めて行きましたが、外観からしてエエ雰囲気な映画館でございます。「子供の頃の映画館ってこんな感じやったわ~」 みたいな。 112席の1スクリーンですが、シートは今風で座り易いです。 ほんまに映画が好きな方が運営しているってのが伝わってくる映画館ですね。


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この手の映画を観る方は少ないだろうとは思っておりましたが、最終日でも私を含めて6名でした。 まぁ、そんなもんかもしれませんが・・・。 アメリカ黒人文学のレジェンド "ジェームズ・ボールドウィン"  (1924年8月2日 - 1987年11月30日) の未完成エッセイを元に、彼の過去のメモや小説、記録映像などをまとめ上げて製作されたドキュメンタリー映画です。

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当時の公民権運動で人々を導いた メドガー・エヴァース、マルコムX、キング牧師と共に活躍した ジェームズ・ボールドウィン から視た人種問題を鋭く抉っております。 私的にはもう少し深い所まで掘り下げて欲しかったのですが、映画がえげつなくなるのでこんなものかもしれません。

60年代の公民権運動をベースとした映画ですが、現代においても全く解決する様子すら無く、逆に悪化して行っている様な人種問題ですわ。 アメリカだけじゃないしね・・・。 

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この映画で使われている楽曲がとても良かったですわ。 ブルースが好きな人には納得です。 最後の曲 「The Blacker The Berry」 には感動致しました。 ラップだからこそ出来るストレートな言葉です。

そして、この映画のパンフレットが素晴らしく、資料としても十分な内容でございました。









『ある奴隷少女に起こった出来事』 を読む

2018.07.08.Sun.10:58
ブルースを演るなら、知っておくべき事だと思っておりますが、日本では感覚的にも理解するのが難しい事なのかもしれません。 奴隷として生まれ、生き続けた黒人女性のリアルな文章でありながらも、その奥にある更に壮絶な現実も読み取れる本だと思います。 160年前に書かれた本ですが、現在においても状況はそれほど変わっていない様に感じますが・・・。


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「ある奴隷少女に起こった出来事」
ハリエット・アン・ジェイコブズ (著)、 堀越 ゆき (翻訳)

ハードカバー : 312ページ
出版社 : 大和書房
出版日 : 2013年3月29日

― 160年前の出版当時は 「白人がセンセーショナルに書いたフィクション」 として忘れ去られましたが、20世紀末に作者ジェイコブズが実在した人物であることが分かると、これまでの評価は一変し、現在ではアメリカ古典名作の1つに数えられています。 ここまで大きな変化をもたらしたのは、「奴隷制は、黒人だけではなく、白人にとっても災いなのだ」 と諦観して闘った、奴隷少女ジェイコブズの視点にあったと思います。 ―

― ジェイコブズの人生は、こうした白人の奴隷所有者や奴隷商人、法に反して奴隷を擁護する白人、奴隷を密告する同朋の奴隷、そして時には聖職者までも、立場も思惑も異なる様々なステークホルダーたちによって翻弄されます。長く 「所有物」 として扱われた奴隷少女はいかなる信念を持ち、それをどうやって貫いたのか。本書が多くの読者から支持を得ている理由の1つは、彼女の等身大の姿が人々の強い興味を喚起し、同時に大きな感動を呼ぶからではないでしょうか。 ―


著者について
ジェイコブズ,ハリエット・アン
1813~1897。ノースカロライナ州出身の元奴隷。 幼くして両親と死に別れ、12歳で好色な医師の家の奴隷となり、性的虐待を受ける。 奴隷という運命にたったひとりで立ち向かった、自身のドラマチックな半生を、知的な文体で克明に記述した 『ある奴隷少女に起こった出来事』 を後年著す。

当時匿名で出版した事情もあり、「白人知識人が書いたフィクション」 と見なされ、長く歴史から忘れ去られていた。 しかし近年の研究により、著者が元奴隷少女のジェイコブズであり、記載された事項のほとんどが事実であると証明されると、現代人の深い共感を呼び、ベストセラーになっている.

堀越ゆき
ジョージ・ワシントン大学大学院卒。東京外国語大学卒。少女時代をアメリカ、プラハで過ごす。現在世界最大手外資系コンサルティング会社勤務 (本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)